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  • 吉岡昌一

パッシブハウスのデメリット|窓

更新日:2022年1月20日

【最新2022年1月改正版】


エコハウスの中でも快適性能最高峰のパッシブハウス。

メリットもありますがデメリットもあります。



よくインターネット上でパッシブハウスの「窓」のことが書かれています。

はたして本当でしょうか、古い情報ではないでしょうか。

価格は、坪単価は、窓をどう考えたらいいのでしょうか。

「窓そのものの熱ロスが少ないものを採用する必要がある」

「太陽光を利用するためには窓を付ける位置などの知識が必要で素人ではわからない」

「ドイツ仕様の「窓の大きさ」は元々小さめなので、特に太平洋側の場合には、せっかくの冬場の太陽光の恩恵がうまく享受できない。」

・・・などなど


過去色々な人がブログ等に書かれています。

2022年1月現在で上記情報はどこまで正しいのでしょうか。

技術革新が進んでいる世の中でブログなどで紹介されている情報は

2012年の情報であったり

2018年の情報であったりします。

そして、内容を見るとパッシブハウスの設計したことがあるのか疑ってしまう内容も書かれています。


わたしは2010年の猛暑の夏を経験し、

熱中症でたくさんの人が亡くなったニュースを毎日見ながら、

今後の住宅設計はどうすべきか?・・・。

と考え込んでいました。


当然自分だけで判るはずもなく。

インターネット検索でそこで、偶然目に留まったのが

「パッシブハウス」という単語です。


なにそれ・・・?

聞いたことないけど・・・?

どんな家・・・?

だれでもそう思いますよね。

大学の建築学科を卒業し、

卒業後は設計事務所で2010年まで28年間、所員として働いていました


過去いろいろな建物を設計してきましたが、

聞いたことのない単語。

それが「パッシブハウス」


「パッシブハウス」が意味する内容はたくさんあり過ぎて、深すぎて次回にしたいと思いますが

今はエコハウスの中でも快適・性能・最高峰の「パッシブハウス」とだけ説明させてもらいます。


ここからが本題。

パッシブハウスの「窓」のデメリットについて整理したいと思います。

人間の生活を守る器として、建物を作り、

ガラスが発明され、

当初は高価であったことから、最初は小さなガラス窓から始まり

国産化、

大量生産、

低価格化から

次第に窓が大きくなり、

沢山付けられるようになりました。


私が子供のころは板戸があって内側にガラス障子があるのが普通でした。

その後は

工業の発展によりアルミサッシが製品化され窓の主役はアルミサッシにどんどん変わっていきました。

当時の木製建具よりも気密性がよく快適になりました。


現在では壁に断熱材を入れるように、

「窓そのものを熱ロスが少ないものを採用する必要がある」に変化してきました。


熱ロスの少ない窓は近くによっても寒くないとの快適性の上に、省エネ性があります。


今までと(値段が)違う。

・・・これが消費者側が感じるデメリット。


ガラスが3枚もあり、ガラス間にはガスが注入されているなど今までより製作費がかかる

・・・これが売る側が感じるデメリット。



私のおすすめは下記の4社


1. チャネルオリジナル(株) : UNILUX 

ドイツ製の木製窓と樹脂窓がありアルミクラッドも選べます。

基本オーダーですが、規格サイズは日本在庫品もあり納期が早いです。

不思議なことに日本サッシより安いのもあります。


2. オスモ&エーデル(株)  : エーデルフェンスター

ドイツ規格の樹脂窓でアルミクラッドも選べます。北イタリア製です。

基本オーダーですが、規格サイズは日本在庫品もあり納期が早いです。

FIXとドレーキップ窓の外観が同じのもありディテールが綺麗です。

ブラインド内蔵の窓、玄関ドアもあり使い勝手がいい窓・ドアです。


3. (株)YKKap : APW430 431 

日本でも、YKKapでトリプルガラスの樹脂窓が作られるようになりました。

性能は他の3社には及びませんが、日本メーカーも頑張っています。


4. (株)パッシオ パッシブ : スマートウィン「佐藤の窓」

昨年には、ドイツからライセンス供与を受け本格的なパッシブハウス用の木製トリプルガラスも生産されています。木製ですが、外部はアルミクラッドしか露出しない独特の窓です。

現在はパッシブハウスジャパンの会員にのみ販売しています。



窓は太陽からのエネルギ-を取り入れる唯一部品です。

太陽熱の貯金箱です。


窓は壁に比べて断熱性能は1/10くらいですが、南側につけると冬はたくさんの太陽エネルギーを建物内部に取り込んでくれます。


適正なバランスで如何に窓を付けるかが重要です。

1年間の太陽の方向、角度を考えながら、冬は窓から日光を入れる。夏は日光を遮蔽します。


日射を全体バランスよく検討するソフトが必要


3Dソフト:SketchUp(スケッチアップ)とそのプラグインソフト:design PH(デザインピーエッチ)で解析し、年間の日射取得を計算するのが一番正確です。

近隣の建物も入れられるのでどんな密集地でも解析できます。


SketchUp(スケッチアップ)


design PH(デザインピーエッチ):ドイツパッシブハウス研究所



太陽光を利用するためには窓を付ける位置などの知識が必要です

物理に詳しい人なら、大きくは理解できると思います。

しかし、単純ではないので最新プログラムを作ってシュミレーションして初めて想定結果が出てきます。

設計過程で、あれこれ変えて沢山シュミレーションすることにより、どれがいいかを決めます。

これに時間がかかります。

これがデメリットです。


建築構造と、デザインと、性能とそして一番の要求である施主要望の四つの要素をぐるぐると

(時間がかかる。いつ終わるかわからないという意味での)

無限地獄?のような

シュミレーションをします。

ここ何年か、何件かやってきた関係で当初よりはずいぶん慣れました。



ガラスが3枚あることからトリプルガラスの窓は非常に重いです。

そして、そのガラスを支えるために枠が頑丈に作られています。

ですから、大きな窓の場合は施工時も5人くらいで移動させないといけません。


トリプルガラスの窓は非常に重いです。

・・・これがデメリットです。


今までなら

大きな吹抜けで、大きなガラスを使いたい場合は

快適でなくてよければ(黙っていればわからない)

断熱性能を考えなくてよければ、(黙っていればわからない)

① 窓の大きさを決めて、

② ガラス厚を決める

だけでよかったのですが


快適な窓の断熱性を求めるなら

① 窓の大きさを決めて、

② ガラス厚を決める

③ サッシ枠+ガラス全体性能U値(他)を求めて快適な上での断熱性を検討する

となり、③の検討結果により、適格ならばこれでOKです。


しかし、③の検討結果が不適格となればもう一度①からやりなおしです。

何回やり直すか、

設計者の才能次第です。


大きな窓を設計する。

それも壁から壁まで、

床から天井までと

サイズのごまかしがきかない窓を付けたい場合

プランと直結する窓デザインをする場合は設計する側の労力が必要です。


設計する側の労力が必要・・・デメリット


あくまで設計する側のデメリットですが。

ここで

この無限ループを回避する一つの設計方法があります。

画期的な方法です。

あまり人に言わないでください。

知られたら困ります。

秘技です。

それは・・・

大きな窓を設計しないことです。(笑)

規格品サイズの窓を付けることです。

ドイツ仕様の「窓の大きさ」は元々小さめなので・・・というのです。

そうすれば設計は楽です。


窓をどうするか。

どうしたいか。

これは、

建物の価格、坪単価に大きな影響がある要素です。

よく理解していただきたいと思います。


でも一番理解してほしいのは


厚い・寒いを感じたくなければ

窓は一番いい性能の物を使うこと

・・・これが最大のメリットです

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