• 吉岡昌一建築設計事務所

高気密高断熱なのに寒い!高気密高断熱と言えるのか?

という質問をいただきました。

私が設計した建物でないんですが、どうゆう理由があるのか聞きたいとの事です。


まずは本当に高気密ですか?

高気密高断熱との事ですが、気密の数値はいくらなのか気密性能試験で確認されましたか。

施工者は気密性能試験でどれだけの性能が出せると言ってましたか。


気密性能とは

「密閉により、空気の流れや熱・水蒸気などの出入りを妨げる性能。」です。


日本の高気密の基準は以下の経緯で決まってきました。


1999年:次世代省エネ基準に宮城県、山形県以南の温暖地域でC値=2.0以下に決定

2013年:次世代省エネ基準でこの規定が削除

    当時は施工できない工務店が多いので規制がなくなったと言われています。


2021年4月以降に新しく住宅を建てる際には、設計された住宅の省エネ性能を設計者が建築主へ説明することが義務化されました。

(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律第27条第1項)


住宅の省エネ性能は住まい手の健康を守る大切な性能です。

新築を予定されている方は設計者から設計された住宅について省エネ性能の説明を受けてくださいね。


この制度を補完する形で鳥取県は先駆けて省エネ住宅性能基準を策定しました。


2020年:とっとり健康省エネ住宅性能基準において、C値=1.0以下が決定されました。

https://www.pref.tottori.lg.jp/293782.htm




    

2021年には長野県でも省エネ住宅性能基準策定で検討しておられます。

国土交通省では、この鳥取県の取り組みに倣い、新たな基準策定に進んでいます。


海外の高気密の基準を見てみましょう。


ドイツパッシブハウス研究所は「気密性能として50Paの加圧・減圧時の漏気回数が0.6ACH(回/h)以下であること」とされており、単位の違いで分かりにくいのですが日本のC値=約0.2以下となります。


ドイツ自体の基準は「気密性能として圧力差50Pa時の漏気回数が1.5ACH(回/h)以下であること」とされています。


アメリカのEnergy Starでは「気密性能として圧力差50Pa時の漏気回数が3.0ACH(回/h)以下であること」とされています。



各国の気密測定基準の違いがあります。


日本の気密性能は圧力差9.8Pa時の住宅における相当隙間面積のことです。

(建物全体にある隙間面積(cm2)を延床面積(m2)で割った数値です。)


JIS による試験方法(減圧法の場合)の要点は以下を見てください。


https://www.city.sapporo.jp/toshi/jutaku/10shien/zisedai/documents/kaisetusyo4.pdf



海外の気密性能はすべて圧力差50Pa時の漏気回数です。


試験する場合の気圧が9.8パスカルと50パスカルと約5倍の圧力が違います。




どのような気密測定試験をするのか。

測定方法はJIS A 2201 (送風機による住宅等の気密性能試験方法)による (減圧法)で

測定装置はコーナー札幌株式会社 KNS-2500C型の時が私の経験では多いです。

この装置の場合、小さな容積の建物の場合エラーが出て測定できない場合があります。

機械の特性として流れる空気の量が小さくなればなるほど微妙な風量が測れません。


コーナー札幌の標準「住宅の気密性能試験結果」報告書(コーナー札幌HPから引用

を例にして説明します。



外国の基準と比較する場合は下記の「参考:50Pa時の漏気回数」の値を見てください。

ここの数字が外国基準の気密性能の値です。



日本基準の気密性能は圧力差9.8Pa時の住宅における相当隙間面積のことですから

実測により△P=9.8Pa時の通気量:163.4 m3/h、係数b=0.682

よって総相当隙間面積:112 cm2

測定対象とした建物の実質延床面積(S)=120m2より

相当隙間面積(C値)=163.4×0.682÷120=0.933→0.9 cm2/m2となります。


海外の気密性能はすべて圧力差50Pa時の漏気回数ですから

実測により△P=50Pa時の通気量:480 m3/h

測定対象とした建物の外皮内容積=300m3より

参考:50Pa時の漏気回数=480/300=1.6 ACH(回/h)となっています。




なぜ気密性能が必要なのか

  1. 気密性能試験はいろいろな省エネ・健康住宅基準により、気密性の目標が設定されています。

  2. 「理想的な」空気漏れ率がどうあるべきかについての合意はありませんが、日本で言うC値1.0未満のものは、潜在的にエネルギー効率の高い家を意味します。

  3. 気密性能試験は、品質保証の尺度としても使用されています。

  4. 加圧・減圧試験は、家の不要な漏れやひび割れを特定し、内装仕上げを施す前に試験を実施すれば、それらを修正することができます。

  5. この気密性能試験では、窓の気密性と窓がどれだけうまく設置されているかを判断することができます。

  6. 気密性試験はヨーロッパで一般的であり、EUは国際的に認められたISO9972に基づくEN13829基準を決めています。


結論:まずは気密試験をしてください。

  1. 出来上がって寒いと感じたら、まずは気密試験をして性能を調べましょう。

  2. 鳥取基準、海外基準と比べて、必要なら修正してください。

  3. 施工途中の場合は内装仕上げ前に気密試験をして性能を調べましょう。

  4. そして完成後もう一度気密試験をして確認してください。


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