top of page
  • 吉岡昌一

パッシブハウスの作り方 4

更新日:2021年9月24日

パッシブハウスの作り方 4

[熱交換換気扇で排熱リサイクル]

暑いですね。

事務所に帰ってきて温度計見ました。


201607事務所室温

33℃を示してます。レッドゾーンです。

考えただけで熱中症になります。

当方の事務所もクーラーを入れないといられません。

たぶん皆さんと同じくパッシブハウスではありませんので。

こうゆう時期こそ「パッシブハウスに住みた~い。」

とつくづく思う次第です。

クーラーをつけてもつけても、換気の為に冷たい空気は垂れ流し状態です。

日本の法律で「1時間に各室体積の1/2を外気と入れ替える。」ことが決められています。

これは人間が生きる上に必要な酸素を建物内に入れるためです。

そのため今までの一般的な住宅では各室に付いている給気ガラリから外気を取り入れ、便所・浴室・キッチンにある24時間換気扇から排気する方法が取れれていることが多いと思います。

もっと昔は、24時間換気はありません。「適度に部屋の換気をしましょうと」、合言葉を言っていました。

テレビのCMにも流れていました。

「1時間に各室体積の1/2の外気と入れ替える。」ことは1日24時間、365日にわたってです。部屋に誰もいなくても。旅行に行っていてもです。

夏に窓を閉め切って25℃に冷房しても、建物側では強制的に2時間ですべての空気が、外気(気温たとえば35℃)と入れ替わります。

冬も同じです。20℃に暖房しても、建物側では2時間ですべての空気が、外気(気温たとえば0℃)と入れ替わります。

2時間後にはまた一から冷暖房しなければいけません。

建物がこのようになっている以上、日本人の美徳から、倹約の為、クーラーの電源をこまめに切っていました。

暑くても我慢が大事と小さいころから親に言われて育ったからです。

なんとかならないかなー?

そこでパッシブハウスでは換気による排熱をリサイクルすることにしました。

捨てるのはもったいない。と言う考え方です。

必要なのは酸素、不要なのは二酸化炭素、温度は捨てたくないよー。

そこで考えたのが「熱交換換気扇」です。

熱交換機能を動かすには換気機能とは別の新たな電力が必要です。

熱交換効率が低ければ、熱交換機能動かす電力分すら削減出ません。

パッシブハウスでは熱交換効率75%以上と考えたのです。

これなら削減できると。

米原パッシブハウスではフォーカス200(販売:ジェイベック)1台で熱交換しています。


フォーカス200

カタログは以下から見てください。

http://www.jbeck.co.jp/download/pdf/focus200.pdf

メーカー公表値の熱交換効率93%

パッシブハウス認定では熱交換効率91%です。

たとえるなら冬の室温20℃として、外気0℃とすると

換気扇の場合は20℃の空気をすてると、外気0℃の空気が入ってくる。

熱交換効率91%の場合は20℃の空気をすてると、

外気0℃の空気を91%熱交換して20×0.91=18.2℃の空気が入ってくる。ということです。

後の1.8℃だけ暖房すればいいという事です。

これを電球程度の少ないエネルギーで動かすのです。

これってすごいと思いませんか。

これは私が考えたわけではありません。

メーカーが考えただけですので、設計する私としては

この商品を使って、他とのバランスをどのようにとるかに苦心します。

給気口から建物に入りフィルターでPM2.5・ごみなどを除去した新鮮空気を取り入れ、

便所・浴室から湿気を含んだ空気を排気口から排出します。

このフィルターは優れものです。彦根の家Ⅱでもフォーカス200を使っていまして

洗濯物は外部に干すより室内がいい。なぜなら花粉が付かない、雨がかからない、冬は加湿になってよい。と施主は言ってます。

一度使ったら、窓を開けるより快適です。

ドイツ製のフォーカス200は浴室の高湿度の空気でも対応できます。

日本の熱交換換気扇では私の知るところ高湿度の空気は不可です。

お風呂の空気を排気できません。設置可能なのはドイツ製になります。

日本メーカーは遅れていて早く開発してほしいと思います。

でもそれなりにするんですよ。ベンツ並みの性能ですから。

これを付けるだけではだめです。

性能を上げるには、まずフォーカス200から外気への給気・排気それぞれの断熱ダクト長さを出来るだけ短くする必要があります。

この部分は外気に面する為、絶対に断熱ダクトを使用しないといけません。

この部分からのエネルギーロスを少なくするためです。

断熱ダクトはどこに売っているの・・・?

どんな商品があるの・・・?

と思われる方もたくさんおられると思います。

そんな方はぜひパッシブハウス・ジャパンのセミナーで勉強してください。

また断熱ダクトの断熱性能により削減エネルギーが変わるのでPHPP計算が必要です。

そして、ショートサーキット防止の為、外壁に付ける給気・排気口は2m以上離す必要があります。

などなど

フォーカス200を取り付けるだけでも、いろいろな基準、規制、使用部品性能の検討など多岐に渡ります。

一つ一つの積み重ねがパッシブハウスを作る上で重要になってきます。

パッシブハウスは総合芸術(?)であって、一点豪華主義では成り立ちません。

熱交換換気扇を付けただけで、どんな建物も快適になるかと言われれば、

「それは無理です。」と言わざるを得ません。

断熱もしないといけませんし、気密性も窓性能も必要です。

一般の方がパッシブハウスの細かなことを理解するのは難しいと思います。

ですから「パッシブハウス」という言葉だけ覚えてもらえればいいと思っています。

閲覧数:11回0件のコメント

Комментарии


bottom of page